2018.07.03 Tuesday
2018年美ヶ原トレイルラン 走行記
当日は携帯からリアルタイムで更新していたのでご存知だと思いますが、
6月30日土曜日、第8回美ヶ原トレイルラン大会の80kmの部に挑戦してきました。
今日はまごうことなく、そのレポートの#1です。
お時間ありましたら、読んでやって下さい
◆プロローグ
29km地点、標高1,985mの物見石山から
40km地点、標高800mの第三関門にむけて一気に1,200m下りてくる。
山の上はとても涼しく、
ややともすると寒いと感じるくらいだった。
標高が下がるにつれて気温が上がる。
木陰が無くなり、初夏の日差しがジリジリと首筋を焦がすのを感じる。
熱いと言うより、痛い。
梅雨明けしたばかりの日差しは、むき出しになっている肌を残酷に焼いた。
寝坊したせいで日焼け止めを塗ってこなかった事を後悔してた。
マラソンを始めて10年。
本格的にトレイルに挑戦するようになって3年。
頑張って練習してきてるけど、いつになってもトレイルの下りは苦手。
上手に走る事が出来ない。
長い長い下り坂を一人とぼとぼ歩く。
チリンチリン。
後ろから熊鈴の音が聞こえてくるたびにコース脇によけて、
後ろから来るランナーに道を譲った。
この区間、いったい何人に抜かれただろう?
下りは本当に苦手だ。
コース脇にスタッフを見かける度に、
関門までの残りの距離を聞いた。
ガーミンは巻いてるけど、トレイルでガーミンの距離はアテにしてない。
あくまでも目安。
「関門まであと8km、90分です。歩いてたら間に合いません」
32kmあたりに立っていたスタッフからこう声をかけて貰う。
苦手な下りだけど、走れる場所は出来るだけ走る。
アテにはならないと言いつつも
何度もガーミンの距離表示と残り時間を確認する。
関門を越える為に必要なペースを暗算する。
暑さでアタマがクラクラする。
36.5km
トレイル区間は終わり、舗装路になった。
12時9分。
関門まで3.5km、21分。
もうキロ6分30秒では間に合わない。
ガーミンの誤差を考えると、キロ6分がデッドライン。
行けるか?
何度も時計を見ながら必死になって走った。
関門を目指した。
曲がり角の所に立ってたスタッフから声をかけて貰った。
「あと200m。間に合うから。頑張れ」
12時28分20秒。
残り1分40秒。
必死だった。
関門に立つスタッフが見えてくる。
目測、あと50m、あと40m、あと30m
目の前の大きな道路を渡って向こう側にたどり着けば
こう思った瞬間、関門のスタッフが両手空に向けて大きなクロスを作った。
そのクロスが青空に映えてとても綺麗で。
終わってしまった。
頑張ったけど、間に合わなかった。
すごい悔しかった。
すごいショックだった。
とても悲しかった。
嘘。
悔しさはあったけど、
ショックと悲しさはなかった。
なぜなら、
関 門 に ひ っ か か っ た の で は な く 、
わ ざ と 関 門 に ひ っ か け た か ら 。
何度も何度も距離とペースを確認しながら走った。
ラスト2kmあたりでこの関門は多分イケると確信した。
足りなかったタイムはわずか10秒
舗装路3.5kmでのキロ6分ペースでの10秒。
これくらいならまだ調整出来た。
でも、調整はしなかった。
レースをやめる口実が欲しかったから。
10年間マラソンを続けてきた。
ただただ長く続けてきただけで、速く走れもしない。
そんな自分にも一つだけ誇りを持ってるものがあった。
この10年間、たった1度も途中リタイアをした事がない。
この10年間、参加したすべてのレースをゴールまで辿り着いてきた。
ちっっぽけなプライドだけど
これだけは誇りに思っていた。
今まで具合が悪い時もあったし、気分が乗らないレースだってあった。
それでもこれを守る為に必死に頑張ってきた。
そんな10年間大切にしてきたものもわざと捨てた。
10年守り続けたものなんかより、
今日この場所で、これ以上走り続けなくていい理由が欲しかったから。
美ヶ原トレイルラン80km。
きっと長い長いレポートになると思います。
良かったら読んでやって下さい。
◆そもそも
そもそも美ヶ原トレイルラン80kmとはどんなレース?
長野県長和町にあるブランシュたかやまスキーリゾートをスタート&ゴールとする
トレイルのレース。
種目は80km、45km、14kmに加えて、今年からは90kmの部門が新設。
80km部門の累計標高は3,980m。
そんなレース。
そんなレースに何も知らないままエントリーした。
ラン仲間から
「美ヶ原トレイルって大会があって、あそこの景色は最高だぞ。
特に2,000mの稜線から見える景色は格別だから。」
って話を聞いて。
エントリーする際、80kmって距離は少しひっかかったけど、
それでも自分は2年前に、
筑波連山天空トレイルのスーパーロングの部70kmのフィニッシャー。
距離は10km伸びるけどなんとかなるんちゃうか?
こう思ってた。
(これが大きな勘違いだったって事に今回実際走ってみて知った。
美ヶ原と天空トレイルでは、コースの難易度は
大人と幼稚園児くらいの差があった(>_<))
エントリーした後、累積標高の事を知って過去の自分のデータを調べた。
天空トレイルの累積が2,800mで、今回は4,000mって事は
距離が10km延びて、累積標高が1,200m増える。
これを知った時点で、あれれ!?ヤバイかもと思った。
でもね、なんの根拠もないけど、
それでもなんとかなると思ってた。
自分ならきっとやれると思ってた。
過去に何度も色んな挑戦してきた。
無謀だって思う挑戦だって、なんだって越えてこれたじゃん。
今回だってきっとなんとかなる。
頑張ればなんとかなる。
そう思ってた。
◆パーティ
今回のレースは、
おぐりん、ゆーこちゃん、カズボーさん、ゆっこさん、俺の5人で
参加した。
おぐりん、ゆーこちゃんはいつものメンツw
カズボーさんは去年の日光ウルトラを一緒に走って同じホテルに泊まった。
ゆっこさんはこういう泊まりで遠征レースに一緒に行くのは今回が初めて。
5人でLINEのグループを作って色んな話をした。
今回の大会はトレランポール(ストック)の使用が認められていたり、
レースの必携品の中に熊鈴とか、
ゴアテックスのレインウェア(ビニール袋は雨合羽は不可)等、
これまでのレースと違って色んなルールがあった。
「モンベルのアウトレットに安いゴアテックス売ってたよ」とか
「ナムチェにあるトレランポール、高いんだけどどう思う?」とか、
5人で話合いながら、
大会にむけて少しずつ道具を揃えて行くのはとても楽しかった。
さながらRPG。
5人でパーティを組んで、力を合わせて大魔王を倒すべく、
防具や道具を少しずつ揃えていく感じ。
カズボーさんがリーダーになって5人で練習会もした。
5月の冷たい雨の中、8時間山の中を走り続けた事もあった。
大会2週間前。
そんなグループLINEに衝撃が走った。
一緒に行く予定だったゆっこさんが今回はDNF(棄権)すると。
なんでも、2週間前にあった奥久慈50Kのレースで転んだ際、
尾てい骨を骨折してしまったと。
大会楽しみにしてたけど、諦めると。
LINEのメッセージを見た時は、
そっかぁ・・・骨折なら仕方ないなって思って、
「了解です。」って返事したけど、
しばらくしてものすごくモヤモヤしてきた。
だってオレ達は5人パーティで、
大魔王を倒すべく頑張ってきたのにって。
このタイミングで一人欠けるとか無しでしょう。
ものすごく無責任で自分勝手だとは思うけど、
こんなメッセージを送ってしまった。
自分自身は過去にDNFした事ない事が誇りだと言っておきながら、
人に対しては、
「DNSとDNF、どっちか選ぶなら後者にすればいいのに」と。
本当に自分勝手な人間だなって思ったよ。
でもね、5人で行くって決めて、
5人で頑張ろうって決めて、5人で頑張ってきた。
だからどうしても5人で行きたかったし、
5人で頑張りたかったんだ。
◆ホテル
ウルトラとかの長いレース。
レース後なら大丈夫だけど、レース前日は絶対個室じゃないと無理だと思ってる。
ただでさえナーバスになってるレース前、
相部屋に泊まって、室内に自分以外の者がいるのは無理だなと。
まずもってトイレが無理。
長いレースに備えて、自分のタイミングで好きな時にトイレに行きたい。
でも旅館とかペンションみたいな所で相部屋に泊まってしまうと、
これは絶対出来なくなる。
ウンコしたくても誰かがトイレに入ってたりして。
だから、長い距離のレースの前日は会場から少々離れていても、
個室で泊まれるビジネスホテルを取るようにしている。
今回の美ヶ原は会場のそばにペンションは沢山あって、
そこに泊まると、大会側から3千円の援助が出るとの事だったけど、
上記の理由でそれらはすべてパスして、個室で泊まれるビジネスホテルを探した。
会場から41km離れた佐久市の佐久平駅の前にある
「アクアホテル 佐久平」ってホテルを予約した。
会場から41km。
さすがに少し遠いかなぁと思ったけど、
信号&交通量の少ない田舎道の41km。
実際車で走ってみると45分。
そんなに負担には思わなかった。
部屋の装備としては風呂、トイレ、冷蔵庫、電子レンジ、ポットと
必要最低限なものはすべて揃っている。
そしてそれ以上に今回ホテルは最上階にいつでも入れる露天風呂があったり、
駅前なのでホテル周辺に食べ物屋やコンビニも多数あって良かったと思う。
大会前日の夜、駅前にある蕎麦屋さんがやってる居酒屋に行ったんだけど、
ここの料理もすごく美味しかった。
#2につづく
http://moonpiec.jugem.jp/?eid=32826